「専門学校」と「お店での修行」を比較!パン屋の開業に有利なのはどっち?
目次
オーナーとして独立開業を目指している人の多くが、「パン屋での修行」と「専門学校」のどちらが有利なのか見極められずにいるようです。
そこで今回は、どちらにすべきか悩んでいる人に向けて、パン屋での修行と専門学校を比較した結果をまとめてみました。
パン屋を独立開業する3つの方法
パン職人として独立開業する方法は、主に下記の3種類です。
▼パン屋を開業する方法
- 製パンのスキルを学べる専門学校に通う
- 現役のパン職人に弟子入りして修行する
- パン屋さんで働きながら学校に通う
それぞれメリット・デメリットがありますが、最も理想的なのはイイとこ取りの3番でしょう。
ただし、雇用しているスタッフに対して開業に必要なノウハウを一通り伝授してくれるパン屋さんは、そう多くはありません。
むしろ、「開業コース」や「オーナー育成コース」のカリキュラムに、実店舗での研修が含まれている学校を選ぶ方が現実的でしょう。
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パン屋の修行と専門学校を比較
パン屋さんに弟子入りして修行する場合と専門学校に通う場合を、3項目で比較してみました。
パン屋の修行 | 専門学校 | |
---|---|---|
費用 | 安い | 高い |
期間 | 5~20年ほど | 数ヵ月~2年ほど |
身に付くスキル | ・製パン技能 ・商品開発 ・接客マナー ・衛生管理 ・営業の流れ |
・製パン技能 ・商品開発 ・接客マナー ・衛生管理 ・営業の流れ ・マーケティング(集客) ・経営(客単価や回転率など) ・経理(利益率など) ・資金調達のノウハウ |
最初に目を引くのは、費用に関する違いです。
パン屋で修行する場合、発生する費用は「書籍代」と「調理器具」程度で済みます。
そもそも、お給料をもらいながら学べるのですから、働きながら開業資金が貯まるほど収支はプラスになる人がほとんどです。
一方、専門学校の費用は入学するスクールやコースの期間によって差が大きいものの、一般的には80~200万円ほどが相場だと言われています。
ただし、身に付くスキルは専門学校の方が圧倒的に有利。
アルバイトや正社員として働くだけならともかく、パン職人として独立開業を目指しているなら「マーケティング」や「経理」の知識は必須です。
パン屋で修行しながらオーナーとしてのスキルをトータルで身に付けるには、書籍代だけでも相当な費用がかかると思っておいた方が良いでしょう。
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開業前にパン屋に弟子入りして修行するメリット
ここからは、パン屋で修行してから開業するメリットについてご紹介していきます。
▼パン屋で修行してから開業するメリット
- 学びながら開業資金を貯められる
- 知識や経験が0でも基礎から学べる
学びながら開業資金を貯められる
パン屋で修行する最大のメリットは、何と言っても学びながら開業資金が貯められるという点でしょう。
中には、パン屋でアルバイトをしている内に「オーナー業を目指してみたくなった!」という方も多いようです。
とくに「費用をかけずにスキルアップしたい!」「融資を受けるのは抵抗がある…」という方は、パン屋さんでの修行が向いているかもしれません。
ただし、オーナーならともかく、パン屋で雇用されているスタッフの賃金は他業種に比べて高くはないため、すべての開業資金を貯めるには相当な期間、働きながら修行を積む必要があります。
知識や経験が0でも基礎から学べる
2つ目のメリットは、たとえパン作りの知識・経験がまったく無い人でも、基礎から学べるという点です。
そもそも、パン屋に弟子入りして修行する際は、いくつかの段階を踏んで登っていかなければなりません。
ほとんどのパン屋では接客がファーストステップになっており、パン作りに関われるまで1年以上かかったという人もいるほどです。
だからこそ初心者OKの求人が多いのでしょう。
言い換えれば、修行を始めてからパン作りの担当になる前に、現役パン職人の様子を観察しながら「作業の手順」や「食材の保存方法」といった基礎を学ぶことができるのです。
細かいプロセスが設けられている分、順を追ってスキルアップできるのもパン屋で修行する大きな強みと言えます。
開業前にパン屋に弟子入りして修行するデメリット
費用の安さや現場で経験が積めるといったメリットばかりが注目されがちですが、パン屋での修行を検討しているならデメリットについても把握しておく必要があります。
パン職人に弟子入りして修行する場合の主なデメリットは下記の3点です。
▼パン屋で修行してから開業するデメリット
- 修行の期間が長い
- 手取り足取り教えて貰えるとは限らない
- 別途マーケティングや経理など経営の勉強が必要
修行の期間が長い
開業の手段としてパン屋での修行を選んだ場合、最大のネックとなるのが期間の長さです。
修行期間とは弟子入りしてから独立開業するまでを指していますが、そもそも「このレベルに達したら終了!」というルールは存在しません。
ポイントは修行している本人が「今の自分ならパン屋を開業してもやっていける!」と思えるかどうか。
実際、5年で独立した人もいれば、20年近く修行してから「のれん分け」された人も珍しくありません。
指導者の方針によっても大きく変わるため、資格の取得と比較するとかなりゴールが曖昧なのです。
とはいえ、数ヵ月~2年ほどで卒業できる専門学校と比較してみると、パン屋で修行する方がはるかに長期化するのは間違いありません。
手取り足取り教えて貰えるとは限らない
弟子だからと言って、必ずしも1~10まで包み隠さず指導してもらえるとは限りません。
とくに、オリジナルレシピや経験から得たコツ、優良な仕入れ先といったお店の生命線に関わる情報は、どのパン屋でもシークレット扱いになっています。
そもそもベーカーは、いわゆる「職人気質」の人が多いため、「技術は教えられるモノではなく、見て盗むモノ!」という考え方が根強いようです。
別途マーケティングや経理など経営の勉強が必要
パン屋に弟子入りして身に付くスキルは、主に「接客」と「製パン」の2点です。
したがって、パン屋での修行とは別に「経営の勉強」を独学で学ばなければなりません。
▼パン屋の修行に含まれていないスキル
- マーケティングによる集客方法
- リピーター作りのノウハウ
- 競合サイトのリサーチ方法
- 回転率の高い店舗づくり
- 利益率から目標売上げを算出する方法
- 採算のとれるメニュー開発
残念ながら、修行中の弟子に対して上記のようなスキル・知識まで教えてくれるパン職人は滅多にいません。
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パン屋さん修行の具体的な7ステップ
パン屋での修行は、どのようなプロセスに沿って進行していくのでしょうか。
ここでは、最も一般的な7つのステップについてご紹介します。
▼パン屋さん修行のステップ
- 販売スタッフ
- 仕上げ
- 補助業務
- 窯(オーブン)担当
- パン生地の分割・丸め・成形
- 仕込み(ミキサー)・折り込み(リバースシート)
- 店長やチームリーダーとして商品開発に携わる
接客・販売スタッフ
ほとんどのパン屋では、販売スタッフから始まります。
主な仕事は下記の4点です。
▼販売作業の一例
- レジ打ち
- 入店者への声掛け
- 店内清掃
- イートインコーナーでの配膳や後片付け
最近ではお店のコンセプトとしてイートインコーナーを設けているパン屋も増えており、コロナ対策としてテーブル周りの消毒もこまめに行う必要があります。
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仕上げ
2つ目のステップは、焼きあがったパンの仕上げです。
この段階で、初めて厨房での作業を担当できるようになります。
▼仕上げ作業の一例
- 食パンをスライスする
- パンの表面にオリーブオイルを塗る
- パンをクリームやチョコレートでデコレートする
- パンの個別包装
- 複数販売の袋詰め
最後の仕上げを施し、トレーに載せて販売スペースに陳列させるまでが仕事です。
厨房用のユニフォームを着用するため、見習いとはいえパン職人の気分が味わえるようになります。
補助業務
仕上げの次は、3番目のステップとして補助作業を担当します。
補助作業は、パン屋のスタッフ事情・提供している商品の種類・数量などによって内容が大きく異なるのが特徴です。
▼補助作業の一例
- サンドイッチ作り
- 揚げ物(フライヤー)
- ホイロ(発酵器)から出した生地を、オーブン担当まで運ぶ
- 丸め(分割作業)
- 機械に入れるだけの食パン生地を成形する
窯(オーブン)担当
パン職人として本格的な作業に携われるようになるのが、ステップ4にあたる窯(オーブン)担当です。
このベーキングを経験している方なら、転職活動で「パン職人の経歴あり」と主張しても差し支えありません。
中には、ステップ5の作業を並行して担当できるケースもあるようですが、一般的には焼き上がりまでの時間がタイマーで管理できる窯(オーブン)担当を先に任されるパン屋が多数派です。
パン生地の分割・丸め・成形
これまでのプロセスと比較して、仕事量がいっきに増えるのがステップ5にあたるパン生地の分割・丸め・成形作業です。
パン生地は生き物ですから、決められた時間内に作業が終わらなければ「発酵オーバー」になってしまいます。
その結果、パンの品質が低下するのはもちろん、場合によっては「破棄処分」になる可能性もあるのです。
▼パン生地の分割・丸め・成形作業に求められること
- 正確性と丁寧さ
- 作業効率
- 作業スピード
仕込み・めん台・折り込み・フィリング
ステップ6は、難易度が格段にアップするパン生地づくりです。
パンの品質に直結する作業のため、スタッフの多いパン屋さんでは分業するのが一般的。
ここではクロワッサンなどのデニッシュ系を例題として、一通りの作業をご紹介します。
▼パン生地づくりの一例
- 仕込み:ミキサーを使ってパン生地を捏ねる
- めん台:パン生地の分割や成形
- 折り込み:生地を薄く伸ばしてシート状にしてから形成する
- フィリング:パンの中に入れる詰め物を作る
上記の合間に、一次発酵・二次発酵も行います。
店長やチームリーダーとして商品開発に携わる
最後のステップでは、商品開発を担当します。
通常のパン作りと並行しながら行うため、休業日や閉店後に行うケースがほとんどです。
また、チームリーダーとしてスタッフをまとめる中間管理職的な仕事も任されます。
リライブなら直営店での現場研修もできる!
パン作りが学べる学校の中でも、リライブでは実戦形式を重要視しています。
リライブの特徴をいくつかご紹介します。
リライブの最大の特徴は、少人数制を取っているという点です。
「少人数制の専門学校なんてたくさんあるのでは?」と思う人もいるかもしれません。
確かに、少人数制を導入している学校は他にも存在します。
しかし本当の意味での少人数制を導入している学校は決して多くはありません。
近年では定年退職後に第2の人生を送る事を目的として、パンやそば作りといった趣味を生かして、それらの専門学校に通う人の割合が増えています。
そんな時代背景も影響しているのか、1クラスの受講人数も増えているのが現状です。
一方で、少人数で理解しやすい環境作りを常に心がけているリライブでは、受講人数にこだわりを持っています。
大人数での授業では受講生1人ひとりへの適切なアプローチが難しく、授業内容を把握し切れないというケースが生じがちです。
その上、授業の流れを気にして、受講生側も質問がしにくい環境となってしまいます。
少人数制ならば講師とのコミュニケーションも図りやすく、分かりにくい所は直ぐに解決することが可能です。
更に、リライブであれば直営店での現場検証も行っている為、働く前から現場の空気を味わえます。
どれだけ授業内容が濃く、優秀な講師を揃えていても、現場で研修できなければ開業後に行き詰るのは明らかです。
せっかく学校で学んだ事も、現場で生かされなければ役に立ちません。
また、大事であると思って勉強している事が、実際現場ではあまり役に立たない事もありえます。
そのような経験を受講中に身に着けておけば、就職後も独立後も大いに役に立つでしょう。
ちなみに、直営店では受講生が考案したパンを直接販売しています。
より多くの経験を積みたい方は、ぜひリライブの受講を検討してみて下さい。
当校公式サイトのベーカリーコースにて、無料デジタル資料の受付も行っております。
まとめ
パン職人は決して資格が必要な職務ではありませんし、どのような経緯を経れば開業出来るのかといった指標があるわけでもありません。
だからこそ、たとえ未経験でも働きながら作り方を学ぶという方法を選択されている人は多数います。
店での修行から学べる事もたくさんあるでしょう。
しかし、労働の合間を縫って勉強する事は大変で、地力を身に着けるには時間がかかるのが難点です。
その点、学校に通えば最初から理論的に学べますし、分からない点があっても自分が納得いくまでサポートが受けられます。
直営店で研修できるリライブでは、パン作りの理論から開業や経営にいたるまでしっかりと学べます。
働きながら学ぶという既成概念に縛られず、学校という選択肢も視野に入れて考えてみてはいかがでしょうか。