パン屋のオープンディスプレイについて
パン屋のオープンディスプレイについて
パン屋と聞いて、まず思い浮かべるのはトレイやかごに入れられ、ところ狭しと並べられた美味しそうなパン。トングを持ったお客さんが直接パンを選んでレジへ。今や、当たり前ともいえるこの風景には理由があります。
街の個人経営のパン屋から、何店舗も経営するパン屋までいろいろありますが、パン屋と言われて思い浮かべるのは、色々なパンがトレイやおしゃれなかごに入れられて棚に並べられており、お客さんが自由にパンを選ぶスタイルだと思います。このような陳列の方法を、オープンディスプレイと言います。でも、なぜパン屋の多くがこのスタイルを取り入れているのか、衛生面での不安はないのかなど、思ったことはないですか?ここでは、オープンディスプレイについて説明します。
1.なぜパンはオープンディスプレイができる?
食品を取り扱う店舗は色々ありますが、なぜ多くのパン屋が当たり前のようにパンをそのまま店頭に並べるオープンディスプレイを取り入れているのでしょうか。最大の理由は、焼き立てのパンをお客様に提供できることです。パンを袋詰めにしたりガラスケースに陳列したりする場合、せっかくの焼き立てのパンを冷却しなければなりません。なぜなら、焼き立てのパンを袋詰めにすると、湯気で袋の中やパンに水滴がついたり、パンが湿気てしまいサクサク感など食感が損なわれたりするからです。ガラスケースに陳列するときも同様で、湯気でガラスが曇ったり、パンの食感が悪くなったりします。パンを冷却する時間や手間を必要としないで、焼き上がったばかりのおいしい状態のパンを提供できるのが、オープンディスプレイです。お店によっては、焼きあがったばかりのパンは、食感を損なわないように紙袋に入れ口を閉じずにお客様にお渡ししている所もあります。それだけ、湿気はパンにとって大敵なのです。またパンは、サンドイッチなど一部の商品を除けば、常温で置いておける食品です。ケーキなどのように冷蔵する必要がありません。逆に冷蔵庫などに入れてしまうと、パンがパサつき風味を損ねてしまいます。ですから焼き立てのパンを店頭に並べたら、そのまま常温で置いておくことが可能なオープンディスプレイは店舗を運営するうえでも効率が良いため、取り入れたお店が多くあるのです。
2.オープンディスプレイのメリット
では、オープンディスプレイのメリットは何でしょうか?お店にとっては、お客様に焼き立てのパンをすぐに販売できるということがあります。また、ショーケースを置かなくて済むので、より多くの商品を店頭に並べられるという利点もあります。かごなどを使用して立体的に見せたり、おしゃれに見えるディスプレイにしたりすることもできます。あるいは季節ごとにトレイの色に変化をつけて、パンをよりおいしそうに見せるなど、いろいろできることもメリットと言えます。また、営業時間によって商品量は常に変化します。開店直後や閉店間際の時間帯など、商品量が充分でないときでも、オープンディスプレイなら、臨機応変に商品を並べて魅力的に見せることができます。さらに、店員が一人のお客様にかかりきりにならなくて済むということもメリットとして挙げられます。お客様が商品を選んでレジまで来てくださるのですから、会計と商品のお渡しに専念できます。お客様を待たせる時間が短くて済みますから、店内のお客様の流れもスムーズになります。数人お客様が並んでいるだけで、パンの購入をあきらめて帰ってしまわれる方もおられますから、そのようなお客様が少なくなるのもメリットです。お客様の立場からすると、オープンディスプレイには自分で好きなパンを選べるという楽しさがあります。トングを持ってパン選びをするときのワクワク感は何とも言えないものです。また、焼き立てのパンがたくさん並んでいるのですから、お店の中にはパンの良い香りがただよい、食欲が刺激されてつい1つ2つ多めにトレイに乗せてレジへということも期待できます。このように、オープンディスプレイはお店にとっても、お客様にとっても魅力的なディスプレイだと言えます。
3.衛生面について
オープンディスプレイって、衛生面ではどうなのと、思われる方もおられるでしょう。今のパン屋はデパートの地下など頻繁に人が行き来するようなところは別として、独立した店舗ではオープンディスプレイが一般的になっています。お客様にもオープンディスプレイが当たり前のように受け入れられているため、お客様も不衛生にならないように気遣いをしています。また店舗でも、常に店内を清潔に保つよう気を配っています。パンを補充するときには新しいトレイで運んできて、置いてあったトレイは下げるというように常に清潔に保たれるような流れが出来上がっています。店内を店員が清潔にすることを心がけていれば、不衛生と思われることはありません。
4.まとめ
オープンディスプレイにしたからと言って必ずしも売上アップにつながるとは限りません。パン屋を開業するにあたっては、お客様の導線、目線を考えたディスプレイが必要です。また、パンもただトレイに並べれば良いというものでもありません。つい手に取りたくなるような、おいしそうに見せる工夫も必要です。このようなことは、専門的に学ぶことが必要です。リライブの授業では、魅力的なディスプレイの方法なども学ぶことができます。