パン屋を開業する際に必要な機材や備品とは?選び方のポイントもご紹介
目次
パン屋を開業するにあたって、必要となる備品や機材には様々なものがあります。
ご自身がイメージするパン屋のコンセプトや将来の方向性によって備えておくべきアイテムは異なるため、しっかり検討することが大切です。
そこで、今回はパン屋を開業する際に準備しておきたい備品や機材についてご紹介していきます。
数多くの種類から適切なアイテムを選ぶポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
パン屋に必要な機材や備品とは?
パン屋を開業する際には様々な備品や機材が必要となりますが、基本的には大きく3つのカテゴリーに分けることができます。
それぞれ、釜周りで必要なアイテム、売り場に関連するアイテム、そしてシーン別で必要となるアイテムとなり、分けて考えると整理しやすくなります。
以下では、この3つのカテゴリーごとに詳しくご紹介していきます。
釜周りで必要な機材や備品
パン作りのメインとなる釜周りでは、美味しいパンを効率的に作るために、業務用の機材が必要となります。
基本的な機材には以下のようなものがあります。
- オーブン
- 冷蔵庫・冷凍庫
- ミキサー
- ホイロ
- 調理用具
オーブン
パン屋にとって最も欠かせないと言っても過言ではない機材がオーブン。
業務用のオーブンは一度に多くのパンを焼き上げられるだけでなく、均一に加熱できることで自分が理想とするクオリティの高いパンを提供することが可能です。
オーブンには、主に「デッキオーブン」と呼ばれるオーブン内のヒーターで加熱するタイプのものと、「コンベクションオーブン」と呼ばれるファンからの熱い空気を循環させることで加熱するタイプがあります。
それぞれ向いているパンの種類が異なり、一般的にパン作りに特化した伝統的なパン屋などではデッキオーブンが広く使用されています。
一方、コンベクションオーブンは焼き菓子にも対応できるなど汎用性があるため、メニュー数にバリエーションを持たせる場合に便利です。
また、スチームの有無など、どのような機能を備えているかも事前に調べておく必要があります。
このように、オーブンには機能や性能、サイズに応じて価格帯にも大きな開きがあるため、選択時にはご自身が提供したいパンの種類やお店の規模などを考えた上で適切なものを決定するようにしましょう。
冷蔵庫・冷凍庫
業務用の冷蔵庫や冷凍庫もパン屋にはなくてはならない機材です。
冷蔵庫はパン作りのための生地や材料を保存するために利用され、業務用の冷蔵庫は強度が高く容量も大きいことから、庫内の温度変化を防ぎ鮮度を保つ役割を果たします。
冷凍庫は長期的な保存が可能です。
保存方法に注意することで、材料の無駄をなくし、新鮮なパンを提供することができます。
また、一度に多くの生地を仕込んでおくことで業務の効率化や繁忙期の備えになるだけでなく、パンの味わいに一貫性を持たせることも可能です。
オーブンと同様に、冷蔵庫・冷凍庫に関してもパン屋の規模や業務形態によって適したサイズや機能が変わるので、機材を選ぶ際にはできるだけ具体的なビジョンをもとに活用方法を検討するようにしましょう。
業務用の機材は高額な投資となるため、予算や将来的なプランによっては購入ではなくリースなどを活用するのもひとつの方法です。
ミキサー
ミキサーはパン屋にとって重要な機材で、パン生地をこねるために必要となるアイテム。
特に業務用の大型ミキサーは、よりきめの細かい生地づくりにつながるだけでなく、作業の効率化を図ることができ、美味しいパンをより多くの顧客に提供することが可能です。
ミキサーを選ぶ際には、パン屋の規模やメニュー数などに応じて適切な大きさを選びましょう。
また、ハード系のパンをメインに提供する場合にはパワフルな機材を選ぶなど、ご自身の作りたいパンの種類に応じた機材選びもポイントとなります。
ホイロ
ホイロもパン屋では重要な機材のひとつ。
ホイロはパンの発酵を行う際に使用され、適切な温度と湿度を維持する役割があります。
生地の発酵はパンの食感や風味などに大きな影響を与えるため、美味しいパンを作るためには欠かせないものです。
キャビネット型や棚型、丸型など様々な種類があり、機種によっても設定できるモードが異なるので、事前にどのようなタイプが適切かしっかり調べておくことが重要です。
調理用具
基本的な調理用具をはじめ、開業するパン屋で提供するメニューに応じて必要なアイテムを準備する必要があります。
具体的には以下のような調理用具が使用されています。
- 刷毛
- クープナイフ
- パンナイフ
- タオル
- タイマー
- スケール
- カード
- 霧吹き
- 木製ピール
- 食パン型などの型
- ベーキングシート
売り場で必要な機材や備品
パン屋を運営するためには、売り場環境を整えることも大切です。
売り場で必要なアイテムの例として以下のものが挙げられます。
- 陳列棚
- レジスター
- 包装用品
- インテリア
- 衛生用品
陳列棚
パンを並べる陳列棚は、パンの鮮度を保ったり、より美味しそうに見せたりするために重要なアイテムです。
サンドイッチやケーキなどを提供する場合には、冷蔵ショーケースも必要となります。
店内の広さやオペレーション方法、さらには一度にどのくらいのメニュー数を展開するかなど、実際の経営状況を予想して、適切な大きさやデザインのものを選ぶことが重要です。
レジスター
会計をするために、レジスターがあると便利です。
レジスターは必ずしも必要というものではありませんが、よりスムーズに会計を行うことができる上、データの集計などもしやすくなります。
パン屋の規模によっては、POSシステムを導入することで会計業務も効率的行えるでしょう。
包装用品
パンを包むための袋や手提げ袋など、扱いやすい包装用品を選びましょう。
提供するパンのサイズや種類に応じて、大きさや素材にバリエーションがあると対応しやすくなります。
素材は以下のものが主流です。
- OPP袋(透明感が高く、パリッとした質感)
- IPP袋(やわらかく、破れにくい)
- 紙袋(通気性がよく、デザインが豊富)
同じフランスパン用の袋でも素材やデザインの違いで何種類も販売されていますので、確認してみましょう。
また、最近ではマイバックを持参することが推奨されるようになってきてはいますが、手土産やちょっとしたプレゼントにもパンが使われることから、手提げ袋も重要な備品といえます。
手提げ袋はプラスチック製か紙製のものが主流。
無地のものを購入してもいいですが、お店のロゴをいれれば、オリジナリティをだせます。
インテリア
照明や植物などのインテリアも、店内のイメージを決める大切な備品のひとつです。
インテリアによってお店の雰囲気が変わるため、顧客の居心地の良さにも大きく影響します。
インテリアにこだわることでお店の個性を表現できるだけなく、ターゲットに合わせたインテリアを選ぶことで集客にもつながるので、計画性を持って検討しましょう。
シーン別で必要な機材や備品
開業するパン屋のコンセプトによって、必要な機材や備品は異なるもの。
一般的にパン屋で必要とされる機材でも、ご自身のお店には必要ないものもあれば、あると便利なものが存在します。
ここでは、シーン別で必要な機材や備品の例をご紹介していきます。
イートイン・カフェスペースを設ける場合
イートインスペースやカフェスペースを設置することで、顧客が店内でゆったりとくつろげる空間を提供することができます。
イートイン・カフェスペースを設ける場合は、お店のコンセプトや訪れる客層に応じて検討するだけでなく、そもそも出店する店舗にエリアを設けることが可能なのかといったプラスの準備も加わるため、慎重に進めていきましょう。
必要となる備品には以下のようなアイテムがあります。
- テーブル・イス
- 食器類
- 返却口
- メニューブック
- 消耗品
イートインコーナーの有無を迷っている方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
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セルフサービスで提供する場合
お客さんが自由に好きなパンを取って最後に支払いをするセルフサービスを導入する場合、以下のような備品があるとよりスムーズに運営することができます。
- トレーやトング
- 陳列棚
- プライス・ネームプレート
- 衛生用品
客数や店舗の広さに応じて、扱いやすい素材や数量などを検討することがポイントです。
コーヒーなどドリンクにこだわる場合
パンだけでなく、ドリンク類も提供したいと考えている場合にはさらに以下のような備品があると良いでしょう。
- エスプレッソマシン
- コーヒーメーカー
- ジュース抽出器
- 製氷器
特にパンとコーヒーは相性が良く、一緒に食事を楽しむ人も多いため、コーヒー関連の機器が揃っているとよりクオリティの高いサービスを提供することができます。
機材や備品選びにおける重要ポイント
パン屋開業には様々な備品が必要になり、物によっては高額になる機材も少なくありません。
ここでは機材や備品選びにおける重要なポイントを解説していきます。
カテゴリーごとに分ける
まずは、ご自身が開きたいパン屋で必要な備品をカテゴリーごとに分けて書き出していきましょう。
カテゴリーごとに分けることで、多くのアイテムの中から必要なものを整理することができ、準備漏れを防ぐことができます。
優先順位を決める
開業時には、備品以外にも店舗探しや材料の仕入れなど様々な準備が必要な上、出費も重なります。
全ての備品を揃えられるに越したことはありませんが、初めのうちは限られた予算の中でやりくりしなければならないケースもあるでしょう。
始めに作った備品リストの中から、絶対に必要なもの、将来的に揃えたいもの、必要ないものといったように優先順位を付けることで、本当に必要な備品にこだわって選択することができます。
品質を検討する
パン屋で使用する備品には専門的な機材が多くあります。
使用する機材がパンのクオリティを左右するのはもちろんのこと、機械の手入れのしやすさや信頼できるメーカーのものなど、長期的に安心して使用できる備品を選ぶことが大切です。
包装用品などの消耗品に関しても、お客さんの使い心地やパン屋のイメージに合わせて適切な備品を選ぶようにしましょう。
スペース効率を考慮する
特に大型の設備やインテリアなどを準備する際には、店舗のサイズや設計に適した備品かどうかを考慮することも重要です。
厨房のサイズに対して大きすぎる機材を設置してしまうと、スタッフが動きづらく作業効率が落ちてしまいます。
また、イートインスペースを設ける場合も、店内で食事をする顧客とテイクアウトする顧客の割合を想定してテーブルの大きさやイスの数などを決めることで、より効率的な売上アップにつなげることができます。
機材や備品の調達方法
次に、機材や備品の調達方法についてご紹介していきます。
信頼のおける業者から購入する
パン屋の開業で必要な機材には、専門的で高価なものが多くあり、初めての開業の場合はどのように調達していいか迷ってしまう人も多いと思います。
必ずしも有名メーカーで高額な商品が良いという訳ではなく、ご自身のお店にとって最適な機材を選択することが重要です。
購入の際には親身に相談に乗ってもらえ、アフターサポートなどがある業者だと安心して購入することができます。
同業種での経験や知識がある人の意見を聞くのも助けになるでしょう。
リライブでは、備品や機材選びのアドバイスから紹介や手配も行っているので、スクールを通して情報収集と準備を進めていくのもおすすめです。
中古品を購入する
費用を抑えたい場合には、中古品を購入するのもひとつの方法です。
プロ仕様の機材を安価で手に入れることができるため、場合によっては少ない予算でもクオリティの高いパン作りにつながります。
ただし、中古品の購入はタイミングや運も影響するだけでなく、コンディションも様々です。
そのため、中古品を選ぶ場合には型の古さや使用感などもしっかりチェックした上でより慎重に選ぶようにしましょう。
また、中古品の場合は購入に比べて初期費用を抑えられる一方で、アフターサポートの手厚さに欠ける場合などもあるため、長期的な視点での価値も見極める必要があります。
リースを活用する
費用を抑えつつも、本格的な機材を利用するためにはリースがおすすめです。
リース会社を通して期限付きで機材を借りるシステムで、一般的には月額で使用料を支払います。
借りられる期間はリース会社や契約内容にもよりますが、基本的には数ヶ月から年単位など比較的長期間となるのが特徴です。
購入すると高額な機材や最新のモデルでも、リースであれば気軽に導入できるのが魅力です。
リース会社によるサポート体制もしっかりしているので、費用面だけでなく、メンテナンスや買い替えの際の労力を省くことができるのもポイントです。
機材や備品における予算の考え方
パン屋の開業においては多くの機器や備品が必要となりますが、その仕様や大きさ等は、売上目標やコンセプトによって変わります。
ご自身の出店計画に合わせた適切な機器や備品を導入するためにも、店舗の規模やコンセプトを明確にするとともに、機器や備品の導入に対する専門的な知識を身につけるか、詳しいメーカーや専門家のアドバイス等を受けて導入する事が重要です。
正しい情報を得ることでお店の予算に合わせた必要な機材や備品を揃えることが可能となります。
パン屋開業時の備品における予算の考え方について知っておくべきポイント見ていきましょう。
以下の記事では開業資金の調達方法についても詳しくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてください。
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具体的な予算計画を立てる
機材や備品をカテゴリーごとに分けて必要なアイテムを絞ったら、カテゴリー別、さらにアイテム別と、できるだけ具体的な予算計画を立てることがポイントです。
必要なアイテムを書き出してから、重要度の高いものから優先順位をつけていくと良いでしょう。
無計画に進めていってしまうと、あれもこれもと追加してしいるうちに予算オーバーになってしまったり、本当に必要なアイテムに対してしっかり予算を費やせなかったりということにもなりかねません。
順序立てて整理をすることで、予算内で必要な機材を揃えることができます。
収益性を考える
機材や備品を導入することで得られる収益性を考えることも、予算を立てる上で重要な要素です。
調理器具を検討する際に、たとえ購入価格が割高であったとしても、うまく活用することで効率性が上がれば合理的な投資であると言えます。
例えば、1人でお店を経営する場合は様々な業務を自分だけでこなさなければなりません。
このような場合、業務効率を高めるレジシステムや、一度に多くの生地を仕込んで保存できる冷凍庫などを導入することで、忙しくても人件費をかけずにスムーズな運営をすることが可能です。
どんなに美味しいパンが作れても、収益を出せなければ経営が持続できなくなってしまいます。
そのため、予算を立てる際には機材や備品の導入による収益の影響もしっかり考慮するようにしましょう。
以下の記事では、パン屋の経営面にフォーカスして成功のポイントを解説していますので、こちらもチェックしてみてください。
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長期的な視野を持つ
パン屋を運営していると、機材の買い替えサイクルや将来のビジネス展開などに応じて、新たな機材や備品調達の必要性が出てくることも考えられます。
出店エリアの環境変化や突発的な出来事によって、移転や形態を変更する可能性もゼロではありません。
そのため、予算を設定する際には開業時のイメージだけでなく、長期的な視野で機材や備品の価値を考えることが大切です。
長期的な視野を持つことで設備投資の効果を最大化し、将来の成長や変化に対応できる継続的な経営につながるでしょう。
まとめ
パン屋の開業では、おいしいパンを作るための調理器具以外にも、店内のイメージを表現するためのディスプレイなど大切な備品が多くあります。
今回ご紹介した備品は一例で、その他にも様々な選択肢が考えられます。
計画を立てる際には開業時のイメージだけでなく、中長期的な視野で考えることで、よりスムーズな経営につながっていきます。
当校リライブでは、将来パン屋の開業を目指す人に向けたコースもご用意しており、専門的な機材や備品に関するアドバイスも行っています。
当校のベーカリーコースで専門知識を体系的に学ぶことで、開業に直結するよりリアルなスキルを身につけることが可能です。
今回ご紹介した内容を参考にご自身が目指す店舗のコンセプトを明確にし、長く愛される店舗づくりを目指していきましょう。