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移動式カフェを開業する前に知っておきたいこと

<移動式カフェを開業する前に知っておきたいこと>

最近増えている移動式カフェ。キッチンカーやフードトラックなどと呼ばれ、様々なジャンルのお店があります。ここでは移動式カフェを開業するために必要な資格や、店舗型カフェとの違いなどについてまとめています。

 

最近、車で移動販売を行うお店を見かけることが多くなりました。それまでは移動販売といえばスーパーなどの駐車場でたこ焼きや焼き鳥などを売るお店というイメージでしたが、最近はイベントやフェスなどでおしゃれなキッチンカーをよく見かけます。見た目だけでなくメニューも非常に多様化していて、需要の高まりを感じます。

 

1.移動式カフェを開業するために必要な資格等

移動式カフェの開業にあたって、必要などのような資格や届出などをまとめます。まず、通常の飲食店と同様に、「食品衛生責任者」の資格は必須です。通常の飲食店と同様に施設ごとに最低1人置くことになっています。次に、営業許可の申請が必要です。都道府県や管轄地域によって若干異なりますが、自動車での営業の場合、調理営業か販売業かで施設の基準が変わります。調理営業とは飲食店営業、喫茶店営業、菓子製造業など車内で調理を行って提供する場合に当てはまります。ただし、生ものを扱うことはできず、車内では主にあらかじめ仕込みをしたものを小分けにしたり、あたためたり、盛りつけしたりなど簡単なものに限られます。許可申請後の検査では移動車両内の洗浄や手洗いのためのシンクや冷蔵装備、換気設備、廃棄物のための容器などの設置や車内の可動スペースの面積など様々な観点からチェックを受けます。一方販売業はあらかじめ包装されたものの販売に限られ、車内での調理加工はできません。営業車両には冷蔵設備や専用の陳列ケースが必要となり、調理営業とは別途に車両設備の基準が設けられています。パンなどがこれにあたり、調理営業に比べるとメニューは限定的になりますがその分車内設備の要件は低くなっています。

 

2.移動式カフェと店舗型カフェの様々な違いについて

では、移動式カフェが店舗型のカフェと異なる点について挙げてみたいと思います。まず、経営面で見ると、家賃がかからないことや初期費用が安いということが挙げられます。また、常にメンテナンスが必要な設備が店舗型よりも少ないので、光熱費も低くなる場合が多いです。営業方法の面で見ると、店舗型は開店時間、閉店時間を決めてお客様を誘引するいわゆる「待ち型」なのに対して、移動式は営業時間を自由に決められます。そして、ターゲットとなる場所を決めてそこへ向かうという「攻め型」とも言える方法です。お客様の所へ自ら行くという手法は店舗型ではできないことです。とはいえお店を開く場所はどこでも自由に決めてよいわけではありません。出店したい場所を見つけたら、その施設のオーナーへの直接交渉や、道路の使用許可を得るなど、その場所の持ち主、責任者に許可を得る必要が出てきます。最近では、キッチンカーの出店の場所取りを仲介するサービスも出てきているようです。また、こうした移動式カフェでは「販売のみ」を行い、テーブルや椅子など食事をする場所の提供は難しいという点も違いに挙げられます。飲食用のスペースを設ける場合は必要な面積が増えるため、そもそもスペースがない場合、通常よりも許可が取りづらいという面があります。そのため食事の提供は食べやすさ、持ち運びやすさが重視されます。次に、売り上げや利益の面で考えてみます。この面でも移動式と店舗型は売り上げの波に大きな違いがあります。店舗型のカフェは立地条件や天候等その日の条件によって集客率が大きく変わります。立地条件について言えば、お店を建てた当初は条件がよく売り上げが上がったとしても、その後の区画整理や交通状況の変化、競合他店の出現などにより売り上げに大きく影響が出る場合があります。対して移動販売の場合は、営業日や時間、場所が自由に決められるためこうしたリスクを避ける手段があるということになります。その代わり、売上計画やスケジュールを綿密に計画し、エリアの調査をこまめに行うなど状況に応じた柔軟な対応力も大切になってきます。最後に顧客を得る範囲や集客方法の違いについてです。店舗型の場合は店舗を中心とした円状の地域に顧客が広がっていきます。もちろん、お店が気に入って遠方から通う人も一定数いるでしょうが、主な顧客は近隣地域の住民や会社員などになります。こうした地域の方に適したサービスを提供し、常連客を増やしていくのが主な手法になります。さらに店舗型は地域のカフェをまとめたWebサイトや口コミサイトなどに登録され、そこを広告ツールとして使うことができます。さらに顧客ターゲットが店舗の近隣に広がっているということから、「知人から聞いて」という客層も誘引しやすいです。対して移動式の顧客ですが、店舗型のように円が大きく広がる形にはなりません。移動式の特性上1箇所にとどまり営業することは少なく、様々な場所を転々とすることになりますので、出店した場所で得た評価がその地域に広がっても、常にその地域で営業するわけではないため、すぐに集客に結びつきにくいと考えられます。その為顧客範囲の形としては小さい円が点在するような形になるでしょう。移動式店舗でも常連客を得ることは可能ですが、「また来たい」と思った時に顧客がスムーズに来店できるように情報発信をすることが大切です。具体的には出店曜日や場所、時間などのスケジュールを事前に告知することが重要になってきます。実際、移動式販売は店舗型に比べて宣伝が難しいと言われています。こうした店舗はSNSで出店告知やスケジュールを発信していることが多いのですが、そもそもSNSの存在を告知する手段が少ないこと、常連になってくれた顧客はSNSを見なくても来てくれる、といったことなどが宣伝が難しい理由として挙げられます。そのため多くの移動販売が集まるイベントなどに参加して認知度を高めることや、営業中の回転率を高めてその場所で1人でも多くへ提供するなどの工夫も必要になります。

 

3.まとめ

キッチンカーやフードトラックなどの移動販売は、イベントやフェスなどで認知が広まり、SNSの流行などもあり注目されやすい状況下にあると言えます。その為カフェ形式の移動販売も、新たに参入する余地はまだまだあると考えられます。移動式カフェを開業する際はコンセプトやメニューを決めた上で、移動車の準備や必要な資格・営業許可の取得が必要です。カフェの業態は様々です。それぞれの知識はもちろんのこと、各業態のメリットやデメリットなども理解しておきましょう。

 

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