カフェ学校で学ぶ!開業に必要な設備の選び方
目次
カフェを開業するには揃えるべき設備が山ほどありますが、選び方にコツがあるのをご存知ですか?
実際、専門学校に通っている生徒さんでさえ「何を新品で購入し、何を中古で購入すべきか分からない!」「それぞれの相場が知りたい!」と悩んでいる方がほとんどです。
そこで今回は、カフェ開業に伴う設備の選び方についてまとめてみました。
カフェ開業の設備は「飲食店営業許可」の条件をクリアすべし!
まず大前提として、これからカフェを開業する場合は「飲食店営業許可」の条件に沿って設備・機材を選ばなければなりません。
カフェを開業するには、食品衛生に関する法令に従って指定の営業許可を申請する必要があります。
この「営業の許可制度」は令和3年6月1日から新制度へと移行しており、これまであった「喫茶店営業」は「飲食店営業」に統合されることになりました。
▼営業許可業種の違い
- 令和3年5月31日まで:提供するメニューによって「飲食店営業」または「喫茶店営業」に分かれていた
- 令和3年6月1日から:提供するメニューを問わず「飲食店営業」の申請・許可が必要
なお、細かい備品については下記の記事にて詳しく解説しております。
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厨房設備の選び方
まずは、厨房設備の選び方について順番に見ていきましょう。
▼カフェ開業に必要な「厨房設備」
- シンク
- 手洗い場
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 作業台
- ガスレンジ・ガステーブル
- 給湯器
- 換気扇
- 食器棚
- ホールと厨房を区分する「扉」
シンク
飲食店営業許可では、調理場用のシンクに対して3つの基準が定められています。
▼シンクの条件
- シンク数:調理場内に2槽以上
- 1層ごとのサイズ:幅45cm以上/奥行き36cm以上/深さ18cm以上
- 給水:1層ごとに「水」専用、および「お湯」専用の蛇口が付いている
2層のシンクが必須だからといって並べて配置する必要はないので、調理場内であれば離れた場所に設定しても構いません。
シンクの設置場所を決める際は、あくまで「動線」や「作業効率」を踏まえるのがコツです。
一方、下記のような蛇口は利便性の高さから家庭用として広く普及しているものの、カフェの開業設備としては認められていません。
▼シンク選びのNG例
- 蛇口が中央に1つしかなく、首を振って2つのシンクで併用するタイプ
- 中央に1つの蛇口が付いていて、首を振れば2つのシンクで使えるタイプ
手洗い場
「スタッフ専用」の手洗い設備がシンクとは別に用意されていない場合、飲食店営業許可は取得できません。
手洗い場の設備を購入する際は、保健所が定めているサイズを選んで下さい。
▼手洗い場の規定
- サイズ:幅36cm/奥行28cm以上
- 衛生:殺菌消毒できる消毒剤を固定する
冷蔵庫・冷凍庫
飲食店営業許可を取得するには、外から庫内の温度が確認できる「温度計」の設置が義務づけられています。
本体に付随していない場合は、外付けタイプでも構いません。
ただし、例外的に庫内用の置き型タイプでも認められるケースがあるため、あらかじめ最寄りの保健所に確認しておきましょう。
ちなみに、冷蔵庫や冷凍庫にサイズの基準は設けられていませんので、基本的に保管したい食材量によって自由に選ぶことができます。
とはいえ、ランチなどをメインにしているカフェなら「収容力」および「耐久性」が優れているステンレス製の業務用がオススメです。
「実際に開業してみないと必要量がイメージできない!」という方は、リースまたはレンタルを検討してみましょう。
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作業台
作業台もカフェの調理場に欠かせない設備です。
厨房だけでなく、カウンターの内部にも用意しておいた方が良いでしょう。
選び方のポイントは、調理しやすい高さになっているかどうか。
作業台の高さは80cmほどが一般的で、台の下が「収納スペース」または「冷蔵庫」になっているタイプがオススメです。
ガスレンジ・ガステーブル
ガス機器を購入する際のポイントは下記の3点です。
▼ガス機器の選び方ポイント
- 「都市ガス」か「LPガス」か、物件のガス種に合った機器を選ぶ
- 2口または3口など、同時に調理するのに必要な口数を選ぶ
- メニューに適した火力で選ぶ
ガスレンジとガステーブルには下記のような違いがありますが、どちらでも飲食店営業許可を取得することは可能です。
▼ガステーブルとガスレンジの違い
- ガスレンジ:ガステーブルとコンベクションオーブンが一体化している
- ガステーブル:ガスコンロが内蔵されている
給湯器
飲食店営業の認可を得るには、お湯が出る給湯器を設置しなければなりません。
給湯器には一定の時間で出るお湯の量を表す「号数」があり、カフェ用としては大き目の28号または32号が一般的です。
換気扇
換気扇もカフェを営業するうえで義務づけられている設備の1つです。
そもそも、飲食店向けの店舗にはネズミ・ゴキブリ・虫・ゴミなどが侵入しないよう、厨房に「窓」を設けていない物件が少なくありません。
そこでオススメしたいのが、衛生的に使えるシャッター付きの換気扇です。
なお、換気扇フードには取り付け方が定められていますが、自治体によってルールが異なります。
あらかじめ、対象地区の保健所または消防署で確認しておきましょう。
「大がかりな設備の準備は難しそう…」という方は、居抜き物件やスケルトン物件がオススメです。
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食器棚
「開閉式の食器棚」も、飲食店営業許可の条件を満たすために必ず必要な設備です。
食器にホコリが付かないように保護するのが目的なので材質は問われませんが、下記3つの条件を全て満たしていなければなりません。
▼食器棚の基準
- 仕様:扉、または引き戸つき
- 台数:1台以上
- 高さ:目線より下で、なおかつ膝より上
厨房とホールを区分する「扉」
飲食営業許可の基準を満たすためには、厨房とホールを明確に区分する「扉」を設置する必要があります。
衛生面・安全性の観点から、スタッフ以外の人がキッチンに立ち入れないようにするのが目的です。
配膳のしやすさを考慮し、ほとんどのカフェでは手が塞がっていても開け閉めできる「スイング扉」が採用されています。
カウンター設備の選び方
カウンター周りの設備として代表的なのが下記の4点です。
▼カフェ開業に必要な「カウンター設備」
- カウンターテーブル・カウンターチェア
- コーヒーメーカー
- 製氷機
- ショーケース
カウンターテーブル・カウンターチェア
カフェ学校の開業コースでは、「高額なメニュー単価で勝負する自信がない…」「ランチタイムなど特定の時間帯にまとめて集客したい!」という方に対し、回転率をアップさせる設備として出来るだけ多くのカウンター席を設ける手法をオススメしています。
ここで注意したいのが、カウンターテーブルの高さは作業台との「差」によってお客様に与える印象がガラリと変わるという点です。
下記を参考に、カウンター席の高さはお店のコンセプトに合わせて決定しましょう。
▼カウンター席の高さによる違い
- 1mのカウンター×80cmの作業台:調理しているスタッフの手元が見えない分、非日常的な空間が演出できる
- 80cmのローカウンター×80cmの作業台:調理そのものをパフォーマンスとして楽しんでもらえる
コーヒーメーカー
コーヒーメーカーはカフェである以上1台は必ず必要ですが、最も選び方が難しい設備でもあります。
その理由は種類が多いうえ、新品であろうと中古であろうと値段がピン切りだからです。
回転率の高いカフェなら湯温・抽出量・抽出時間などを好みに合わせて調節できる「任意プログラム設定」つきが理想的ですが、新品なら安くても40~60万円ほど、中古でも20万円ほどと決して安くはありません。
開業当初は新品で10万円~、中古で7万円~販売されているプログラム機能ナシのタイプで対応し、経営が安定してから上位スペックに買い替えるのも賢い方法です。
▼コーヒーメーカーの一例と相場
- エスプレッソマシン: 40万~
- コーヒードリップマシン:15~50万
- コーヒーグラインダー:5~30万
- コールドドリンクディスペンサー(アイスコーヒー用):10~35万
製氷機
確かに氷は冷凍庫でも作れますし、コンビニで調達して保存しておくことも可能ですが、ドリンク類をメインメニューとして提供するカフェでは十分とは言えません。
特に夏場は氷の使用量が増えるため、専用の設備として製氷機を用意しておいた方が安心です。
▼製氷機のサイズの目安
- 1日あたり200杯:45kg
- 1あたり100杯以下:20~30kg
ショーケース
ケーキ・焼き菓子・プリンといった作り置きできるデザートを提供するなら、ショーケースも設備の一環として用意しておいた方が良いでしょう。
来店客が選びやすいうえ、テイクアウト販売の後押しにもなります。
ただし、ショーケースは意外と高額で新品の3段仕様なら60~80万円ほど、中古でも20万以上が相場です。
ショーケース選びのポイントは、店内の内装と調和しているかどうか。
内装がレトロ風で冷蔵の必要がないマカロンやクッキーなどがメインなら、あえて木枠の中古品を選ぶのも一案です。
昭和の時代にパン屋さんで使っていたような木枠の中古品なら、1万円以下で販売されています。
ホール設備の選び方
続いて、ホール設備の選び方について解説します。
▼カフェ開業に必要な「ホール設備」
- テーブル・椅子・ソファ
- 照明
- 冷暖房設備
- 空気清浄機
- 音響設備
- トイレ
テーブル・椅子・ソファ
選び方の決め手は、お店のコンセプトに合っているかどうか。
同じ設備でも、材質によって店内の雰囲気がガラリと変わります。
▼素材による違い
- スチールなどの金属や樹脂:スタイリッシュで手入れが簡単なので、若い方や子連れに人気
- 木製:ナチュラルで暖か味があり、リラックスできる空間を演出できる
- 布張りのソファ:カジュアルな内装に適しており、カップルに人気
- 革張りのソファ:重厚感が演出でき、ブックカフェなど滞在時間が長いカフェに適している
効率を優先するなら、2人用のテーブル席をメインに構成するのがオススメです。
お一人様であろうと団体客であろうと組み合わせ次第で臨機応変に対応することができる分、空席の予防に役立ちます。
照明
飲食店営業許可における照明の基準、つまり明るさの程度については各自治体によって多少の差があります。
東京都では50ルクス(lx)以上が条件になっていますが、その一方で明るさの基準そのものを定めていない地域もあるのです。
照明の明るさについては、開業を予定しているエリアを管轄している保健所で確認しておきましょう。
冷暖房設備
冷暖房設備の有無は、飲食店営業許可に影響しません。
とはいえ、そもそもカフェには「お客様に快適な空間を提供する」という役割がありますので、冷暖房設備は必須と言って良いでしょう。
ドアを開閉する度に店内の室温が変化するため、たとえ10坪ほどの小規模カフェであっても業務用の冷暖房設備が選ばれています。
冷暖房設備は大きく下記の2種類に分けられており、費用を抑えたい方には露出タイプがオススメです。
▼冷暖房設備の種類
- 埋め込みタイプ
- 露出タイプ
業務用の冷暖房設備を選ぶ際は、「店舗の広さ」と「性能」を基準にするのが大前提。
最近では、家庭用ほど種類は多くないもののデザイン性にこだわったタイプも販売されていますので、お店のイメージを損なわない外観も選考条件に含めた方が良いでしょう。
空気清浄機
コロナ対策として欠かせない設備として、空気清浄機が挙げられます。
飲食店に対する感染予防対策のルールは自治体によって異なるものの、空気清浄機が有効であることは間違いありません。
お客様に安心して店内で寛いでいただくためにも、1台は完備しておきましょう。
ほとんどの自治体では空気清浄機に対する助成金や補助金を設けていますので、あらかじめリサーチしておく必要があります。
音響設備
カフェにおけるBGMは、お店のコンセプトの一部です。
大学や専門学校エリアのカフェならトレンドが自動的に反映されるUSENでも構いませんが、特別なコンセプトを設定しているなら「こだわりの音源」を流すプレイヤーを用意しましょう。
最近では、大きなモニターを設置してMV(ミュージックビデオ)やYouTubeの映像を流し、BGMの代わりにしているカフェも少なくありません。
どちらにしてもスピーカーは必要ですから、店内のイメージに合わせて選びましょう。
▼スピーカーの種類
- 天井埋め込み型:スピーカーを露出したくない方向け
- 据え置き型:インテリアの一部として役立てたい方向け
- ペンダント型:おしゃれな雰囲気を演出したい方向け
トイレ
店内に客席を設けているカフェには、トイレの設置が義務付けられています。
トイレ設備の広さに規定はありませんが、下記の3点は全て満たしていなければなりません。
▼トイレの基準
- 厨房を通らなくても入室できるなど、衛生的な設置場所
- ネズミや虫が入ってこない造り
- トイレ専用の手洗い場
ちなみに、テイクアウト専門店にトイレの設置義務はありません。
会計・事務設備の選び方
最後に、レジ周りや事務作業に必要な設備についてご紹介しましょう。
▼カフェ開業に必要な「会計・事務設備」
- 会計機器
- 通信設備(電話・パソコン・インターネット)
会計機器
代金は計算機を使って手動で対応することも可能ですから、レジは必須設備とは言えません。
とはいえ、下記に当てはまる場合は記録が残るレジ設備を準備しておいた方が良いでしょう。
▼レジ設備を用意した方が良いケース
- ワンオペ営業
- 店舗の広さに対して、スタッフ数が少ない
- オーナーが留守中に、会計を任せられる人材がいない
ちなみに、レジは大きく下記の3種類に分かれていますが、個人経営のカフェでは手打ちの「一体型レジ」が最も一般的です。
▼レジの種類
- 一体型レジ:レジ本体、ドロアー、プリンターがセットになっている
- POSレジ:パソコンを兼ねている本体についているキーで操作する
- アプリ型POSレジ:タブレット対応
一方、メニュー数が50種類以上もあるカフェなら、本体が高額かつ月額料金が発生するPOSレジを検討してみても良いでしょう。
通信設備(電話・パソコン・インターネット)
「スマホがあれば必要ないのでは?」と思われがちですが、店舗を構えている以上、最低限の通信設備は必要です。
▼通信設備の必要性
- 電話:予約の受付/出前の受注/食材の発注など
- パソコン:ネット予約/ブログなどの広告宣伝/DM用の顧客名簿づくり/出納帳の管理
電話は厨房でも使える子機つきのタイプが、PCは場所を取らない小型のノートパソコンがオススメです。
お店の付加価値を高めるには、Wi-Fi(ワイファイ)や充電設備を提供するのも良いでしょう。
カフェ学校ならここまでレクチャー!設備選びのコツとは?
社会人向けの専門学校では、カフェでの実務に加えマーケティングや接客のノウハウなど、幅広いカリキュラムが組まれています。
もちろん設備の選び方もカリキュラムに含まれており、実務経験を伴う講師だからこそ提案できるアドバイスを提供しています。
▼設備選びのコツ
- 最初に予算を立てる
- 中古品の設備機材を検討する上での注意点
- 全ての設備は「動線」を邪魔しないサイズがベスト
最初に予算を立てる
カフェ学校に通っている生徒さんに必ず伝えているのが、「最初に予算を立てる」というルールです。
開業資金が潤沢に用意できる方は、そう多くはありません。
限られた資金を無駄なく活用するには、いかに初期費用を減らせるかにかかっているのです。
実際、当校の生徒さんで長期経営に成功されている方は、予算内で設備費用を賄っています。
まずは店舗の規模から算出した「開業資金の総額・当面の運転資金・売り上げ見通し・利益率」から全体の予算を立て、そのうえで設備に充てられる金額を割り出すところから始めるべきでしょう。
開業資金の算出方法や自己資金の割合については、下記の記事を参考にしてください。
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- カフェ開業の自己資金はいくら必要?学校の費用を含めたシミュレーションつき!
- カフェ・喫茶店の開業資金はいくら?3タイプの開店資金が一目で分かる一覧表
- カフェ・喫茶店の目標にすべき利益率は?改善方法5つもご紹介
中古品の設備機材を検討する上での注意点
確かに、中古品で設備を揃えるには下記のようなメリットがありますが、必ずしも万能とは言えません。
▼中古品のメリット
- 新品より格段に安い
- 浮いた予算で、内装などをグレードアップできる
- 納期が早く、最短即日でも可能
- 据え付けまで請け負ってくれるショップもある
- 製造中止になってしまった製品も入手できる
中古品の設備器材を検討する際に注意したいのは、「保証期間やアフターサービスがしっかりしているか」という点です。
なるべく多くのリサイクルショップを比較検討し、どのお店から購入するのか絞り込んでおかれることをおすすめします。
ネットの情報だけでなく、実際にショップに出向いてご自分の目で設備を見て確認してみて下さい。
その際に、店員さんの対応なども目安になります。
質問にはっきりと答えてくれなかったり、保証やアフターサービスについて言葉を濁したりするお店は、避けた方が賢明です。
また、中古品の場合は故障などで取り換えてほしいと思っても1点物で取り換えができないという恐れもあります。
さらに中古品である以上、使用感があるのは否めません。
使用に差し支えのない程度の傷であれば気にする必要はありませんが、中には傷がどうしても我慢できないという方も多いようです。
購入後、ショップ内で見逃していた傷に気づくこともありますので、欲しい品だからといって即決せず、細部まで観察してから決断しましょう。
設備器材はお店の生命線ですから、開店直前になって慌てて準備しようとすると、思わぬ粗悪品を買ってしまう恐れもあります。
開店日が決まったら、なるべく早めにじっくり選ぶ時間を確保しておきたいものです。
全ての設備は「動線」を邪魔しないサイズがベスト
結論から言うと、設備選びで最も重要なのは「性能」ではなく「動線を妨げないサイズ」です。
どんなに性能やデザインが優れていても、調理作業の効率が悪くなったりメニューを提供する速度が遅くなったりするようでは意味がありません。
厨房・カウンター・ホールの全てにおいてオペレーションがスムーズに行えるよう、余裕を持った動線を確保できるサイズの設備を選ぶべきなのです。
まとめ
カフェを開業するために必要な設備は、新品・中古を問わず相場が幅広く選び難いのが難点。
性能にこだわると予算をオーバーし、だからといって役に立たない粗悪品では到底満足できないでしょう。
ポイントは、「お金をかけるべき設備」と「節約すべき設備」を正しく見分けられるかどうか。
当校リライブのカフェ開業コースでは、エスプレッソマシンの扱い方から設備費用を節約するノウハウにいたるまで、オーナーとして必要なスキルをもれなく提供しています。
ご興味のある方は、ぜひ「リライブ公式HPのカフェコース」をご一読ください。