カフェバー開業の方法を専門スクールの講師が解説!喫茶店からの業態変更は可能?
目次
カフェバーの客単価が一般的な喫茶店よりも高いのをご存知ですか?
最近では、すでに開業しているカフェからカフェバーへ業態変更するために、専門学校に通い直している方も珍しくありません。
そこで今回は、カフェバーのメリット・必要な資格や届け出・求められるスキル・必要な開業資金などについて解説します。
カフェバーとは?
そもそもカフェバーとは、文字通りコーヒーをメインメニューとして提供するカフェと、アルコールをメインメニューとして提供するバーを融合させた飲食店です。
カフェバーの営業スタイルを大きく分類すると、下記の2種類に分けられます。
▼営業時間の配分パターン
- 切り替え式:日中はコーヒーを、夕方以降はアルコールを提供する
- 非切り替え式:開店から閉店まで、営業時間を区切らずコーヒー・アルコールの両方を提供する
切り替え式の方が一般的ではあるものの、「昼酒OK」の非切り替え式カフェバーも増えているようです。
ただし、日中にアルコール提供が認められているエリアは限られているため、事前にリサーチしておきましょう。
「カフェ経営」と「バー経営」の3つの違いとは?
両者の違いは、「お酒を提供しているかどうか」だけではありません。
まずは、両者の主な違いについて見てみましょう。
▼「カフェ経営」と「バー経営」の違い
カフェ経営 | カフェバー経営 | |
---|---|---|
営業時間 | 早ければ早朝8時~21時ころまで | 11時ごろ~夜中まで |
メニュー構成 | 各種コーヒー/ソフトドリンク/モーニング/ランチ/デザート | 各種お酒/おつまみ/サイドメニュー/ピザなどの本格的な食事 |
必要なスキル | コーヒーの淹れ方/調理/接客/マーケティング/経理 | 左記に加え、アルコールの取り扱い/酔っ払い客の対応 |
店舗を経営するにあたって、特に注目して欲しいのが「営業時間」の違いです。
一般的なカフェや喫茶店であれば、ワンオペ営業もさほど難しくはありません。
これに対し、営業時間が長いカフェバーでは日中と夜とで異なる客層に合わせたスタッフを雇っているのが一般的です。
▼スタッフの採用条件
- 日中のカフェ経営(アルコールなし):高校生でもOK
- 夜間のカフェバー経営(アルコールあり):成人のみ(女性スタッフのみは避けるべき)
カフェバーを開業するメリット
通常のカフェや喫茶店に比べ、カフェバーの開業には下記のようなメリットがあります。
▼メリット
- 客単価を上げやすい
- 競合カフェとの差別化が図れる
- 客層が広がってリピーター増にも繋がる
客単価を上げやすい
1つ目のメリットは、客単価を上げやすいことが挙げられます。
軽食やソフトドリンクだけでは、1回の来店で提供できる量に限界があるでしょう。
そのため、客単価を上げて黒字化するには、下記のように様々な経営努力が求められます。
▼カフェ経営で黒字化を目指すコツ
- 原価率を下げる努力
- 魅力的なメニュー開発
- お客様の回転率アップ
これに対し、カフェバーにはお酒を提供するというだけで、ほぼ自動的に客単価を上げやすい強みが備わっているのです。
▼カフェバーで客単価が上げやすい理由
- アルコール類は、ソフトドリンクよりも「単価」や「利益率」が高い
- 基本的に劣化しないため、商品として無駄が少ない
- アルコールによって食欲が増進し、「アテ」や「つまみ」の注文が増える
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競合カフェとの差別化が図れる
2つ目のメリットは、競合となるカフェとの差別化が図れることでしょう。
午前中から夕方まではカフェメイン、夕方以降はバーメインといった営業形態にすることで、それぞれの時間帯に来店されるお客様に対してポジティブな印象を与えることができるのです。
▼お客様に与える印象
- 昼のカフェに来店されるお客様:夜でもコーヒーが飲める喫茶店
- 夜のバーに来店されるお客さま:昼でもアルコールが飲めるお店
これなら、狭いエリアで複数のカフェが乱立している激戦区でも、競合店とは一味違うコンセプトが伝わるはずです。
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客層が広がってリピーター増にも繋がる
カフェバーを開業する3つ目のメリットは、幅広いニーズに応えるお店として認識されることで、客層が広がるという点です。
そもそも、店舗は同じでも昼と夜とでは客層や来店の目的が異なります。
▼客層や来店目的の違い
- 昼(カフェ):学生、主婦、子連れ家族、OL、サラリーマン
- 夜(バー):仕事帰りの成人男性や女性、大学生の二次会、ママ友の飲み会
昼のお客様が夜に、夜のお客様が昼に来店するように促すことで客層が広がるだけでなく、リピーター増にも繋がります。
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カフェバーの資格に関する疑問
ここでは、カフェの専門スクールである当校リライブに通ってらっしゃる生徒さんから寄せられた、よくある質問についてご紹介します。
▼資格に関する疑問
- 喫茶店営業許可でカフェバーは開業できる?
- 酒類販売業免許は必要?
喫茶店営業許可でカフェバーは開業できる?
結論から言うと、喫茶店営業許可だけではカフェバーを開業・運営することはできません。
まずは、業務形態ごとに取得が義務づけられている「営業許可証」の違いを見てみましょう。
▼業務形態と許可証の違い
- 喫茶店:「喫茶店営業許可」が必須
- カフェ:「飲食店営業許可」が必須
つまり、喫茶店とカフェでは必要な許可証が異なっており、カフェバーを開業・運営するには「飲食店営業許可」の取得が義務づけられているのです。
ちなみに、提供できるメニューも許可証の種類によって違います。
▼喫茶店営業許可と飲食店営業許可の違い
お酒の提供 | 提供できるフードメニュー | 提供できないフードメニュー | |
---|---|---|---|
喫茶店営業許可 | NG | 加熱のみ、または加熱しなくても提供できるモノ | 加熱以外の調理 |
飲食店営業許可 | OK | 加熱以外の調理もOK | 調理方法に制限なし |
酒類販売業免許(一般酒類小売業免許)は必要?
お酒がメニューに含まれているからと言って、必ずしも酒類販売業免許が必要とは限りません。
▼酒類販売業免許の必要性
- 必要:テイクアウト、またはビンやボトルでアルコールを販売する場合
- 不要:店内、または敷地内でアルコールを提供する場合
つまり、カフェバーの店舗内やオープンスペースのみでアルコールを提供するなら、酒類販売業免許(一般酒類小売業免許)は必要ないのです。
カフェバー開業に必要な資格
カフェバーを開業・経営するには2つの資格が必要です。
▼カフェバーに必要な資格
- 食品衛生責任者の資格
- 防火管理者の資格、および防火管理者選任届の提出(スタッフを含む店舗収容人数が30名以上の場合)
ちなみに、カフェバーに調理師免許は必要ありません。
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食品衛生責任者
1つ目の必須資格は、各店舗に最低1人は必要とされている「食品衛生責任者」です。
管轄の自治体または保健所で主催している講習を受講した後、自治体に申請することで取得できます。
▼講習の概要
- 講習の期間:1日
- 受講費:1万円ほど
なお、調理師や栄養士の資格を持っている人は、食品衛生責任者の取得を免除されています。
防火責任者
条件によって必要となるのが、「防火責任者」の資格です。
▼防火責任者の概要
- 必要になる条件:収容人数が30人以上になる場合
- 取得方法:管轄の消防署などで講習を受ける
- 受講費:5千~1万円ほど
防火管理に必要な知識と技能を有し、避難経路や火災報知器など防火管理を行い、店舗で火災などが起きた際に責任を負う立場になります。
なお、「収容人数」とは客席の数ではなく、従業員も含めてお店に収容できるトータル人数なので注意しましょう。
カフェバー開業に必要な届け出・許可申請
カフェバーを含む飲食店を開業する際は、必要に応じて下記のような各種許可申請が必要となります。
▼届け出・許可申請
- 防火対象物使用開始届出書
- 火を使用する設備等の設置届
- 水質検査成績書(井戸水または貯水槽の水を使用する場合)
- 労災保険や社会保険の加入手続き
- 開業届(個人事業主)
- 設立登記申請書、法人設立届出書など(法人)
その他、労災保険や社会保険の加入手続きなどが必要な場合もあり、全て自分で行うには相当な時間と手間がかかります。
「何が必要で何が省略できるのか分からない!」という方は、行政書士に手続きを依頼するのも選択肢のひとつです。
ここでは、カフェバーと関連性が深い3種類について解説します。
▼カフェバーと関連性が高い届け出・許可申請
- 飲食店営業許可申請
- 酒類販売業免許
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出
飲食店営業許可申請
お酒を扱わないカフェなど、通常の飲食店と同様に「飲食店営業許可申請」が必須となります。
提出すべき書類の種類や枚数は地域によって多少の違いが見受けられるため、管轄の保健所に問い合わせてみましょう。
なお、カフェを始めたい人が誤解しやすい「喫茶店営業許可」は、アルコール以外の飲み物とごく簡単な軽食しか提供できないため注意が必要です。
酒類販売業免許
アルコールを提供する方法が下記に当てはまる場合は、酒類販売業免許(一般酒類小売業免許)が必要です。
▼酒類販売業免許が必要な提供方法
- テイクアウト
- ビンやボトルでの販売
深夜酒類提供飲食店営業営業開始届出
深夜0時以降にアルコールを提供するカフェバーは、店内・テイクアウト・ボトル販売など提供方法を問わず、警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を提出する必要があります。
▼深夜酒類提供飲食店営業開始届出の概要
- 申請料金:無料
- 必須の提出物:店舗の平面図/求積図など
「自分で図面を用意できない!」という方は、費用は10~30万円ほどかかるものの行政書士に依頼するのも賢い方法です。
ただし、条文には「通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く」と規定されているため、ラーメン店や居酒屋のように「メインメニューが食事の飲食店」には不要です。
どのメニューがメイン扱いになるのかは、最寄りの警察署の判断に委ねられていますので確認してみましょう。
カフェバーの経営に必要なスキルは?
カフェバーを運営するオーナー様には、少なくとも下記3種類のスキルが不可欠です。
▼必要なスキル
- アルコールの取り扱いスキル
- 調理スキル
- 経営スキル
アルコールの取り扱いスキル
カフェバーの経営者を目指すなら、まずはアルコールの取り扱いスキルを身に付けましょう。
下記のような資格を取得する、または大会で賞を取ることでお客様から専門家だと一目置かれるのはもちろん、お店の話題作りにもなるはずです。
▼アルコールに関する資格
- バーテンダー
- テキーラマエストロ
- カクテルアナリスト
- ワインソムリエ
- ウィスキー検定
- 日本ビール検定
- 日本酒スペシャリスト
調理スキル
一般的な喫茶店に比べ、本格的な料理が提供できるのもカフェバーならではの魅力です。
もちろん、ちょっとした「おつまみ」程度に特化しても構いませんが、多くカフェバーではオーナー自らが調理スキルを習得し、創作料理を提供しています。
だからこそ、最近では調理のカリキュラムが充実しているカフェの専門学校が増えているのでしょう。
調理スキルと合わせて、「食材の在庫管理」も学んでおくのが理想的です。
経営スキル
カフェバーを開店する前に、ぜひ身に付けておきたいのが下記のような経営スキルです。
▼経営スキル
- 売上や経営コストの管理
- 帳簿の付け方
- スタッフのマネジメント
- 宣伝などのマーケティング
- イベント開催のノウハウ
アルコールを提供することでマーケティングの幅が広がるからこそ、工夫のしがいがあるのです。
カフェ・喫茶店からカフェバーへの業態変更は可能?
結論から言うと、営業中の喫茶店からカフェバーへ業態変更することは可能です。
5年以上のキャリアを持つ経営者が、専門学校で調理やアルコールについて学び直した後、カフェバーに業態変更した例もあります。
ただし、アルコールを提供するには既に取得している喫茶店営業許可とは別に、飲食店営業許可申請が必要です。
カフェバーの開業資金は?
アルコールを扱わないカフェの開業資金は、1,000万円前後が標準的です。
これに対し、カフェバーの開業資金はプラス100~150万円くらいは確保しておいた方が良いでしょう。
▼開業資金が多い理由
- 調理器具やワインセラーなど、必要な設備が増える
- 食材など、より多くの仕入れが必要
- 夜間につき、人件費が割り増しになる
- 昼夜問わず人通りの多いエリアは、賃貸料金が高い
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専門スクールのリライブで学べる「アルコール特別授業」とは?
当校リライブは、社会人向けの専門スクールです。
一度は社会に出たものの、「やっぱり夢を叶えたい!」「一国一城の主になりたい!」などの理由から、転職してカフェ開業を目指している方が大勢通われています。
そこで最後に、当校リライブのカフェコースで人気の「アルコール特別授業」についてご紹介しましょう。
▼アルコール特別授業の内容
- カクテルの作り方
- お酒に合うフードメニューの開発
他にも様々なカリキュラムをご用意していますので、ご興味のある方はぜひ「リライブ公式ホームページのカフェコース」をご一読ください。
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カクテルの作り方
女性をメインターゲットにしたカフェバーの開業を目指している方に喜ばれているのが、カクテルの作り方講座です。
仕入れるお酒の種類は多いものの、特別な機材が無くても提供できるうえ、オリジナルが考案できるのもカクテルならではの強み。
アルコール特別授業では、ブラッディメアリーやモスコミュールといった女性向けの定番カクテルはもちろん、創作メニューにも力を入れています。
お酒に合うフードメニューの開発
「このワインには、このチーズ」といった基本だけでは、競合店と差別化を図るには十分とは言えません。
そこで推奨しているのが、お酒に合うフードメニューの開発です。
レストラン並みとはいかないものの、一般的な喫茶店のランチメニューよりも本格的で、なおかつアルコールが進むよう濃い目の味にするのがポイント。
単品メニューからディナーのメインディッシュまでアルコールありきで創作することで、1年も経たずに目標の売上げに到達した卒業生も少なくありません。
まとめ
今回は、カフェバーの開業・経営・業態変更について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
日本のカフェ業界は競争率が激しく、わずか数ブロックに5店舗以上がひしめき合っているエリアも少なくありません。
講師をしていると、「開業しても経営を続けていく自信が持てない…」と相談されることも多々あります。
「競合店と差別化するアイディアが浮かばない!」という場合は、思い切ってカフェバーに挑戦してみてはいかがでしょうか。